個体が傷を負うと血小板は血管の破綻部や創傷部位で一次止血をすると同時に、非常時のシグナルである細胞間連絡物質(サイトカイン)を多種類・多数放出して免疫細胞や真皮線維芽細胞を呼び寄せます。多血小板血漿(PRP)とは字の如く血小板を高濃度に濃縮した血漿のことですが、実はこれら細胞の成長因子と呼ばれるサイトカインを豊富に含んでいます。各成長因子は、例えば血管内皮細胞や繊維芽細胞等を活性化するなど、それぞれ組織再生上個別の重要な役割を担います。 |
皮膚の80%以上はコラーゲン線維でできているため、コラーゲンを作り出す真皮線維芽細胞が傷を根本的に修復する役割を担います。皮膚の老化現象には、生成されるコラーゲンよりも破壊されるコラーゲンが多くなるにつれて、お肌の支持力が低下し、張りやタルミ、シワが増え真皮および真皮下組織が非薄化してゆく機序があります。従って、真皮繊維芽細胞にコラーゲンを作らせる命令を、意図的に老化が進んだところに施せば、お肌の張りが次第に蘇ると考えられます。 血小板は、非常時以外にはサイトカインを多量に放出しません。PRPを抽出する際には高速の遠心分離をかけ、血小板に非常な負荷をかけるので、血小板中に蓄えられているサイトカインが血漿中に多量にしみ出してくると考えられます。そのしみ出たサイトカインの比重は、血球よりも軽くミネラルよりも重いので、遠心分離した試験管の中間層に多く含まれています。その最も濃度の濃いところだけを抽出したのがPRPなのです。因みに上層はPPPといって血漿成分なのですが、ミネラルやビタミンなどの栄養素を多く含んでいることもあります。PRP注入法は真皮の修復に重要かつ無双の働きをする真皮繊維芽細胞に、「働け」と命令を出してたくさんのコラーゲンを作らせる最も安全な再生医療に基づく若返り方法なのです。 |
→それは遺伝子組換・培養・危険薬剤を用いないPRP(成長因子)や自己コラーゲン・自己脂肪・自己幹細胞等の自己組織です。 |
カウンセリング
および簡単な問診。 バイタルチェック
血圧・脈拍・体温・酸素飽和度を測定。 | |
採血
約40cc 希望注入部位のデザイン
※1部位=左右で1部位(当院では、注入量が充分確保できますので余ればご希望のところに追加注入しております。予備に5部位程度デザインします。)麻酔テープ貼付。 遠心分離
PRP抽出
PPPを破棄しても、15cc前後のPRPが得られます。 適応部位にPRP注入
|
非常時の血小板の働き |
主なサイトカイン |
|
※サイトカイン以外の細胞増殖因子・・・PRP中のフィブリン網 :骨芽細胞や繊維芽細胞の足場(Scafold)となる |
遺伝子組換・培養・危険な薬剤や他人の細胞・他人の動物などを用いない、自己サイトカインや自己コラーゲン・自己脂肪・自己幹細胞等の自己組織を用いる方法です。組織の自己修復力や再構築力のみを利用して若返りや脂肪移植の定着率上昇を図ることが最も安全であると考えられます。 |
細胞が生着するために必要な3大要素は、?生きた細胞?細胞の足場(フィブリンや繊維組織など)?成長因子であり、従来の脂肪注入のみの方法では、新鮮な脂肪細胞を注入しても?や?が不足していた為か生着率が20%〜30%と低いものでした。近年4番目の要素として「細胞の栄養」も不可欠であるとも言われています。最近の注入術では脂肪細胞のみならず繊維芽細胞を加えることによって、脂肪組織由来幹細胞が体内で脂肪細胞や血管内皮細胞に増殖・分化します。移植脂肪細胞にとって増殖するための足場と栄養路が備わるため、従来法に比べ生着率は飛躍的に上昇したのです。 |
文献:吉村浩太郎、松本大輔、佐藤克二郎 東京大学医学部形成外科 |